信号待ちをしている時に小学生の女の子がステップを踏みながら帰るのを見ました。
別の日に信号で横断する小学生の集団に会いました。時代が変わっても我々の子供の頃と同じ風景に出会った思いで眺めていました。
先生が何人かで引率して走らせ、急がせて4クラスくらいの生徒達を渡らせます。その元気な集団やステップする女の子を眺めながら、自分もあんな時代が過去に有った事を改めて思い起こしました。
活力のある姿は、見るものにも元気をくれます。
この事が建築とどう係わるのかと言いますと、建築の施主様も結構気力がありませんと建築事業に乗り出されない、と云う事と重なったからです。
「リフォームはしたいけど片付けるのが大儀や」
「新築したいけど引越しの段取りを考えるのがいやや」
「この年になってから借金してローンを返して行くのは考えたくない!」など。
自宅新築や土地活用としての事業用物件の建築などは、そのご家庭にとっても地主様にとっても人生の一大事業です。気力と体力がいるのです。
何でも前向きに取り組める“時”、“時期”というのがあります。
その事を我々建築屋が理解していないと当然ながらお施主様との意思統一は図れません。
誰にでも有る子供時代、若者の時代。
自分達の若かった頃の事は忘れて、若い人たちと一緒に暮らすのは、考え方も違うし、食べ物も違うし、時間帯も違うし、気を使うのもお互いにしんどいという事でそうなっている様ですが、我々がお仕事をさせて頂くお宅も、独居老人の家や、年寄り夫婦だけの家を見掛ける機会が多くなりました。
そんなお家の仕事は、生活の工夫をするための手摺の取り付けの仕事であったり、段差解消の仕事であったりです。
でも一応に感じるのは、子供さんやお孫さんが走り回っているお宅からは活気を感じますが、そんなお宅は何か物足りません。
社会全体が高齢化して行っているのですから高齢者も自立して行くことは必要です。
私の叔母にも叔父が無くなってからも娘が近くに居るとはいえ90歳近くになっても一人で生活している人がいます。
若い人達に生涯迷惑は掛けられないと頑張っています。
老人を過保護にするとかえって体力を弱らせるという人が居ますが、冬のストレス、冬の寒さ対策に床暖房とペアガラスの建具は、我々建築屋からのお薦めです。
床暖は安全ですし、輻射熱量の為、部屋に風や気流が起きない上、空気も汚さない快適な暖房方法です。
ペアガラスは、開口部からの冷気遮断と結露対策に効果
が高いモノです。
「生老病死」を四苦といいますが、生涯がこの四つで構成されている以上、生活の場である“家”と密接に係わっています。
理想を言えば生老の間は長く病死の間は短く、です。
満州からの引揚者である叔母は、全ての財産を捨て、着の身着のまま幼子一人を背負い、もう一人の子の手を引き帰って来た人です。
その苦労を思えば一人暮らしの苦労など何のことはないのかもしれません。
戦争経験者の精神力は尋常ではありませんので、確かに大正生まれは並みの強さではありません。
高齢者が安全で快適に過ごせる家、誰も避けて通れない“四苦”と上手く付き合っていく幸せな住まい作りを我々も常に目標としたい。
|