日本の伝統的価値観

アシストのビルトッテンさんの講演を聞く機会が在りました。

会場にいる人に対して「あなた達は、日本人ですか?」と質問して何人かが手を挙げ様としますと、「あなた達は、日本人ではない在日日系人だ!」と言うのです。
「なぜなら、これ程までに西洋かぶれして戦前まで持っていた日本人独自の伝統的価値観を失っているではないですか!」と日本に帰化された外人さんから会場で一喝されたのでした。

続いて「愛知県で最も良い会社は、どこですか?」と質問します。
「トヨタ自動車」と会場の人が答えますと、ビルトッテンさんは「私は、名鉄だと思います」と答えます。
「国は、飛行機と車に97%、鉄道に3%予算を使っています」つまり“飛行機”と言うのは空港の整備事業の事だと思いますし、“車”と言うのは道路の整備事業の事の様です。
鉄道(国鉄)は、民営化され、まして民間の“名古屋鉄道”は、自分で土地を買収し、軌道を施設し駅舎を作って運営します。国の建設してくれた道路に車を走らせて儲けるトヨタとは、投資金額で差があるのだから、儲けに差が出るのは当たり前だと言うのです。

ナゼこの話に共鳴出来るかと言いますと、国のお世話にならずに、我々建築屋も職人さんの生活をある程度保障しながら次の世代の職人さんを育てて行かなくてはならないため、自分の会社の範囲だけで考えるのではなく、一緒に仕事をしていく協力会社の育成まで配慮していかなければ、企業としての存続が無いからです。

設立5年の現在、ナカイ建設は役所の仕事はほとんどしていません。
遣りたくないとは思っていないのですが、制度的に役所の仕事をするためには、まず役所に指名願いを出してから3年ぐらい通って、今まで出入りしている業者さんの顔色を窺い、納得をある程度得た時期に小さな仕事から実績を積みながら次の仕事を頂戴できる機会を窺うと言うことになるらしいのです。
らしいのですと言いますのは、我々が今まで民間元請100%で下請けの仕事すら実質的にはしたことが無いほど顧客と地域に恵まれて役所の仕事の経験が全く無く、役所の仕事の取り組み方が判らないからです。

話は変わりますが、自主申告制度となっている日本では、法人税も市府民税も消費税も社員の給与に対する源泉所得税も会社で全て計算し納税しています。
今までに支払ったそれらの税金は、累積で結構な金額になると思うのですが、民間に負担を掛けている割に役人の給与金額は高く、拘束時間は短いです。
役所に行っても民間のような組織の改善や改革の努力をどの様にしているかが、なかなか見えてきません。
納税者である我々の方が多少卑屈になり立場を僻んでみても仕方が無いので、地元吹田市の仕事は少しでもして参加して行き、地元に貢献しながら納税してきた金額の一部でも取り返そうかと、短絡に考えてしまいます。

ビルトッテンさんは言います「村上ファンドやホリエモンは、日本人ではない。日本人は、貧しくとも豊かな心をもっていた」西洋と同じ遣り方をしても世界は、誰も日本人を認めない。
海外は「江戸時代の日本人を高く評価したし、思想・哲学にあこがれていた」そう言われてみると、悔しくとも役人にもなれない我々は、底辺でこつこつと真面目に働いて認めてもらうしか結局は能が無いのである。

2006.10.19