最近つくづく建築業は、儲からないと実感します。ナゼでしょう?
一つには、“手作り”があります。
職人さんによって個別の条件に応じて組み立てて行く。この手間に負担が掛かる。
使う材料や商品は、安く手に入っても、それを取り付けたり加工したりするのは職人さんです。
大手建設業では、ロボット化したりユニット化したり職人の手間を省く工夫に取り組んでいます。
ハウスメーカーさんは、工場生産し現場では短期間の組み立て作業だけにしょうとしています。
職人さんの手間賃(日当)を仮に2万5000円とします。時給に換算して3000円以上になりますから「良い日当を取られるんですね!」と言われます。
職人さんは、勿論仕事のあるときだけ出掛けて日当で精算されるのが普通
です。
土工事の職人さんや植木の職人さんであれば雨の日は、仕事が流れる事だってあります。
一月に平均20日働けたとして月収50万・年収600万です。ボーナスは在りませんし、健康保険や国民年金を自分で掛ける個人事業主です。
従って退職金はありません。大工さんであれば、現場に乗っていくトラックは自分持、ガソリン代だってそうです。
当然車の修理代や自動車税・車検代も負担した上、使用する道具、プロの道具はただでさえ高い上→それが職人さんの誇りでもあります。最近は色々な電動工具まで用意して行きます。
日曜・祭日も元請やお客様の都合で潰されることがあります。
これでは跡取りが育ないはずです。
職人さんも儲からず、建築会社も儲からず、ナゼこんな仕事やってんの?となります。
考えてみたら、大工さんは生涯に50戸の家を建て50人の施主さんに会います。
ベテランの大工さんでも一生で新築工事に出会うのはその程度です。
遣り甲斐のある仕事と言えます。
そして各種職人さんの総合力で完成度の高い作品を作り上げて行くその喜びです。
完成の時に振り返って見ますと、雨の多かったことや、途中で台風が来て仮設で補強したり日照りが続いたり、逆に天候に恵まれたりと様々な事が思い出されます。
新築工事であれば1年ぐらい掛かることも在る訳ですからその一年の出来事とダブるわけです。
若い人であれば、結婚があったり、子供が出来たり、逆に親が死んだりと現場の作業や管理をしながら人生そのものの出会いと共に仕事をすることになります。
お施主様から一緒になって喜んでもらったり、慰めてもらったり“家”の仕事は、お施主様と我々とが一体になってやる仕事です。
お施主さんとの“人間関係作り”“信頼関係作り”が“家作り”と言ってもいいでしょう。
それだけに、お世話になったお施主様が亡くなられたりしますと現場監督や職人さんは、どんなに忙しくても通
夜や告別式に駆けつけます。
初めてのお客様が、私の知り合いの土建屋さんに「あの会社は大丈夫か?」と聞き合わせに行かれました。
私がボロの車や軽自動車で伺うので「この会社まともな会社なんか」と思われたようです。
私の知り合いの建築会社の社長は確かに上等の車に乗っている人が多い。
私は、貰った車やガソリン代のなるべく掛からない車を選びます。ガソリン代を使えば又その分稼がなあかん様になるからです。
理由は簡単なのですが、初めての人から見ると頼りなく感じられたのでしょう。長い始まりの出会いはそんなところから始まります。
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